スープというものは、和洋中どのジャンルにおいてもすごく大切、その管理も大切、、、
来週は婚礼3件、林!スープ大丈夫なように頼むぞ!そう、声をかけられて、大丈夫です!3日前から2発づついきます。そう答えました。
このくらいの頃は何か責任がのしかかった感がある方が楽しい感覚がありました。当然段取りは、しっかりやって着々と準備します。
その週末が近づくといよいよスープのストックを作っていきます。
大きな寸胴に1本、翌日もう1本だんだんと増えていきます。厨房内の冷蔵庫には収まらない時は、地下の大きな冷凍、冷蔵庫に運びます。
よし、2本は冷凍しとこう。んで、この2本は冷蔵庫で、、、よしっ あとは厨房内でいけるか、てな具合で私の仕込みをやります。
この冷凍、冷蔵庫は、和洋中と別に鉄板焼き、バンケット厨房、あとケーキなんかの担当してるペストリーも使う為繁忙期は、大混雑します。
さぁいよいよ週末の到来です。まずは、このスープ、そして明日用のスープ、明後日の分はこっちで、最悪明けてからの予備は冷凍で、、、
完璧なスタイル!!
当日はバタバタしてます1日目が終わり、帰りに副料理長が確認をします。林!スープ大丈夫?と、私は、バッチリです。と答えます。明日は一杯行けそうか?と続くので、当然行けます、行かせてください!とかえします。
そして運命の2日目、準備する副料理長から声がかかります。林、これちょっと足らないかもな、一応この半分用意できるか? できますとも、できますとも、こういうのをまってたんですよ、私は、他に見せ場のない私には、できるか?という問いに、心のガッツポーズを一切悟られることなく、はい!大丈夫です!と答える快感が、たまらなく好きでした。
この日も、大丈夫ですよ。夕方に間に合わせます。予備の冷凍分を解凍します。
副料理長もホッとした様子。
冷凍されたスープは恐ろしく固く、なかなか溶けませんし、寸胴ごと火にかけてもなかなか溶けない、沸かないそんなものでした。
一旦休憩に入ってしばらくすると、料理長が副料理長に、ごめん、〇〇さんの予約が入った8名だって、なんかいけるかな?
追い討ちの忙しさです。VIPのお客様です。
副料理長は全てのポジションに確認して、大丈夫ですよと返します、この日は宴会厨房へ料理長が向かい、副料理長はレストラン厨房、私もレストラン厨房でした。料理長が宴会厨房に出発して、副料理長が私に、まだスープあるか?と、あります!ならいいやと、ニコッとわらいながら、随分と準備がいいな〜、と、これはお褒めのことば。
当然、わっす!炸裂です!ありがとうございます!の簡略敬語。おはようございますでも、つかえます。
いざ、営業が始まると、ピリピリで怒号が飛ぶ忙しさ、私も声出してがんばります。
その時、林、下からスープあげてきとけよ。そう声がかかり、地下へダッシュ。冷凍庫へ入りスープ寸胴のあるところへ、手をのばし、あれっ?あれっ? 、、、ないっ!ないっ!冷凍庫だと言うのに冷や汗。なんで?なんで?ここに!スープが、、、、ないっ!やばい!どうしよう!
キラッ!!あっ!!、、、、あった!よかった、、、あるやん!あるやん!邪魔になって、動かされてたんだ〜、びっくりした〜
急いで持って上がり、副料理長へ、すぐ火にかけていいですか?と聞きます。
おう、急いでくれ!と言われましたが、先述した通り簡単には溶けません。
とにかく溶けろ!
そう念じてますがなかなか手強い、とにかく火にかけて、たまった伝票を整理していきます。
林、スープまだか?!副料理長も少し焦ってます。もう少し待ってください!だめだ!間に合わん!まな板!持ってこい!
なんで?と思いながら、まな板をセット、そこ崩れそうなところ取ってあげろ!と怒号が飛びます。はい!急いで言われた通りとります。
副料理長はそれを、叩きました!崩れて簡単に溶けていきます。なるほど、、そうか、、そういうことか、そして次の分を私が代わって叩こうと思った時、林!なんだよこれ!
??、なんかやらかしたかな??
まな板の上のスープの塊がジトーだと溶けていきますが、なんか違うんですよねー、よーく見ても何か?とは分からないけど、なんか違うんです。
副料理長が指で包丁についたそれを舐めました。
ん?これ、お前卵白だろ?
うそ?!まじ??
他に残ってるスープを副料理長の後ろに集結させ
宴会厨房に持って行ってるスープも取りに行き、なんとか、終わらせて、、、
当然、怒られます。
こっぴどく怒られます。
諸先輩方にも、怒られます。
そして、帰り際の、副料理長に呼ばれます。
今日もダッシュな!あっ? と、わっす!すぐに!
赤ちょうちんに向かう足取りは重たく、走れません。着くと、いや〜忙しかったな〜、林!惜しかったなぁー、卵白返してきたか?
それ以上なにも言いませんでした。
でも、2度と同じミスをしないと心にちかいました。
間違いや失敗は起こりえるもの、立ち上がって前を向くかどうかが大切なんだと痛感しました。
その日も副料理長にご馳走になりました。