大将のひとりごと

失敗が、育ててくれた。

深夜の厨房に響き渡る、、、守衛の足音を、、

じゃあ、先に帰るぞ、あと頼むな、、、

そう言われて帰っていかれる先輩方を、お疲れ様でした!と見送り、午前0時の時計に目をやり、さっ今日は、2時までには帰ろ。そう言い聞かせて、最後の力で仕込み、、、

冷蔵庫を綺麗にして、ネギのカット、卵割り、レタスのカット、、、先輩の仕込みの器材揃えて、、、あっもう1時過ぎか、、、

腹減ったなぁ、、

賄いこそ食べますが、見習いは、さほど食べる暇もありません、あ〜お腹すいた〜

脳裏をよぎったのは、白切肥鶏!!

前菜の扉を恐る恐る開くと、綺麗に整理された中にひときわ光るタッパーが、、、

ありました!!白切肥鶏!!

蒸し鶏です!!少しくらいなら、、、

疲れたはずの身体もヒョウのようにしなやかに、箸を取りに向かいます!途中ご飯のジャーのランプも、あったかいご飯はここだよ!と話しかけてきます。

OK〜 お前もいただくぜ〜と鼻息もあらく戻り、急いで、蒸し鶏を切ります。

あのネギのソースはどこだ??

6枚の扉を開けると、、、あった!よし!

これをあったかいご飯に全部乗っけて、、、

できた!!白鶏丼!!

お茶もよーい!!いただきまーす!!

、、、んっ。

機械音しかない厨房に、ゴム底の歩く音が小さく聞こえてきます。

えっ?!やばない!!

だれかもどってくる?!

一旦、片付けて様子を伺います。

き、キーっと厨房の扉が開きます。

何食わぬ顔してお疲れ様です!と声をかけたのは、守衛室の夜間の警備の方でした。

遅くまでたいへんやねー、まだかかる?といいながら、中は入ってきます。

今思えば、食べながらでもいいんでしょうが、緊張が走ると行動が変になるものです。

そして奥にしまった白鶏丼は二の次になり、守衛さんと話し込んでしまい、食欲も忘れ、食器棚になおされた白鶏丼は翌朝を迎えるのです。

翌日、、、なんだこれ?!と先輩の声が聞こえます。

ハッ!と思った時には、昨日のヒョウのようにしなやかに駆け寄り、すみません、すみません、すみません、、、を連呼し、大事にならないように、平謝りしました。

すると、罰としてネギソースのお手伝いと蒸し鶏のお手伝いですが、、、今思えば、罰ではなかったな、愛情だな、、おかげで、きちんとメニューになってます。

何事も経験。昨今のコロナ禍の歯痒さや、苛立ちもきっと、何かに向き合う時間になってます。

失敗から得るものは大きく、知識や技術、経験の財産になる。若い時や当事者の瞬間には気づかない事も時が経てば気づくことも多い。

お店では、蒸し鶏のネギソースという名前で提供してます。

ちなみに、今だと、考えられないので補足しますが、ヒョウのように走れた頃は今より。40キロほど痩せてました。寿命的には、失敗の連続です。

 

 

 

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