そろそろラストオーダーという時に、銀杏が足りない!!そんなことがありました。
林!林!思いっきり出せない声で、いやむしろ大き過ぎるヒソヒソ話のような声でよんでる。
振り返るとIさんが、眼鏡を拭きながら、全く私を見ないで、倉庫に銀杏あるか見てこいと指示が、、、Iさんは、見た目の通りのチェックマンで、なんでもチェック!!すぐチェック!!それだから、ミスも少ない、言われるがまま倉庫へ向かい、銀杏、銀杏、、、
当時のホテルの銀杏とは、缶詰に剥いてある銀杏が入ったものでした、確かこの辺に、、ないなぁ、、 とりあえず戻りながら、あぁ、性格上足りないのを指摘されるのがいやなのかな、、、そう思いながら戻ると、あった?あった?
いや、なかったです。Iさん顔面蒼白、、、
やりとりに気づいた副料理長が、こちらに目をやります。ないものはないんだから、仕方ないやん。と思うのは私だけ、Iさんは腹をくくり、すみません、銀杏を切らして、、、そう聞いた副料理長は、なんだよ早く言えよ!!
全くないのか??!!罵声のように響きます。
林!借りてこい!!
はい!
指示を受けた私は、和食厨房へ走ります、フロアの端と端なのでまあまあの距離、とにかく走ります。和食厨房につくころ、和食厨房の料理長が帰られるところでした、とうぜん私の名前など知らない、ただ、千鳥柄のズボンに刺繍のないコックコートで中華の若いやつとだけはわかります。
どうしたんだ??
すみません、銀杏をお借りできないでしょうか?
おん?ちょっとまってな そういうと厨房のコックさんに伝えてくれてます。
私はかなり急ぎなのですが、風格というか、威厳というか、こういう時はすごくゆっくりと見えます。
中入ってまってていいよ、もうおちついてるから。じゃあおつかれさん。
そう言われて中は入り、得意のわっす!炸裂させます。この時のわっす!は、お疲れ様です!忙しいところ申し訳ありません!がぎゅっと詰まってます。空手家の押忍みたいなもんでしょうか。
おー、こっちこいよ!和食の主任さんが呼ぶので、近づくと、賄い食べてらっしゃいました。
まーとりあえず座れよ、おーい、林に椅子もってこい。
いや、大丈夫です!
銀杏だろ?今持ってくるよ、まー座れよ。
マジかよ、、と思いながら座ると
飯食ったか?
いえ!まだオーダーがあって、、、
食うか?
いえ!大丈夫です!
食えよ!アサリ好きか?
あっハイ!
嫌いとは言えない、、、
おーい林にアサリバター持ってきてー
いや、ワザワザいいですよ!
すると、若い方が現れ、すみません兄さん、アサリの殻が取れて片貝になってしまって、、、
、、、おいおい!それアワビだろ、、、、
冗談もきついなぁと思いやりとりを見ていると、しょーがねーなー、林食うか?
いや〜、あのー銀杏は、、、
銀杏今剥いてるから、ちょっと食っていけよ
プルルル、、プルルル、、内線が鳴ってます、
あっハイ!林ここいますよ!〇〇さん、たまにはこっちこんですか?!
しばらくすると、副料理長が来ました。
お前何やってんだ!!
そりゃそうですよね、アワビ食いながら、ビール飲まされて肩まで揉んでもらって、、、
銀杏は!!
あっ、大丈夫ですよ、ホールの人間に届けさせてますよ、入れ違いだったんですかね?〇〇さんもちょっと座って、まあまあ、
結局、副料理長と1時間ほど飲んで食べて、厨房に戻ると、片付け中の先輩から、まぁこっぴどく怒られました。
帰り際の副料理長は顔を赤らめて、
林、アワビは美味かったな!またいこーや!
この声も、大きなヒソヒソ話で筒抜け、副料理長が帰った後、さらに怒られました。
でも、アワビうまかったなぁ〜
それから、ものをかりにいくときは、制限時間を設けられました。
仕事は、時間を切って効率よく!