大将のひとりごと

捉え方次第で、、、

賄いの箸は最後に持ちます、でも、震えて待てないこともありました、、、

 

いただきます!隣にいる人にしか聞こえないくらいの声で料理長が声をだすと、副料理長、主任、そして、一般社員の順番に、箸を持ちのばします。自分が作った賄い当番の時は、どんな評価をされるのか、ドキドキします。

料理長が一口、また一口と手を伸ばし、林しゃん!これじゃ、犬の飯にもならんよ、、、もっと勉強せな、、HとかSとかから盗まなきゃ!

そう言われたのはしっかりと覚えてます。

悔しいのと、惨めなのと本当に辛かった、周りの先輩方も箸がとまります。

帰る前に、Nさんが声をかけてくれました。

林の実家の料理だと、あんな感じに仕上げるもんねー、ただ、ここは、広東料理だからチーフはそれを言いたかったんよ、味付けは悪くないし、賄いとしては、アリだよ。また、チャレンジしたらいい、あんまり深く考えず、どうしたら、うちのホテルの料理に近づくかだけを追っていけばいい。まだ、何ヶ月よ?チーフは、お前の親父さんから預かったっていう責任と育てるって言う気持ちが強いんよ、生え抜きでやらせてみたいって。

Nさんにそう言われたものの、当時は、何をどうすればいいのか、全くわからなかった。

翌日、Sさんに訊ねた。

Sさん、昨日の賄いどうしたら良いですか?どうやったら、犬の飯じゃなくなりますか?そうたずねると、

よく見ろ!よーく見ろ!営業中は沢山料理を作る。大介のポジションは、見るポジションやろ?しっかり見て、忘れる前にその日のうちに書き留めろ!それから、実践の場が賄い!わかった?今、俺が、答えを簡単に出して、こうしてやったら?って言えば、それはできる、でもそれ以外はどうする?とにかく見ろ!

なるほど、職人じゃない人も、職人さんは目で盗まなきゃやもんねーなんて言う方いますから、当然わかってたつもりでしたが、つまずいて、改めて言われると、痛切にひびきました。

そして、営業中、よく見るようになると、いろんなことに気づきが生まれました。すると、Sさんが、スッと隣に来て

あのスプーンの角度までみてる?あの角度まで叩き込めよ。

なるほど、たしかに、塩をとるスプーンの角度が違うと、こぼれる量が違うのか!だから、味付けがブレて、時間かかって水分が出るから、あんな賄いになったのか。

なんとなく観てるのと、見てるの違いから、考えることまで繋がった瞬間でした。

うちには、大きな犬が居ます。家に帰って大きな袋に入った犬のご飯を見ると、その当時のことを思い出します。

浴びせられた一言は、キツいものでしたが、勇気を持って聞いたことで、得られたものはもっと大きなものでした。

今でもスプーンの持ち方はかわりません。

身体が覚えてるって言うことの始まりでした。

修行ってこう言うことなんでしょうね。今は、1人で厨房に立ちますが、来店されるお客様から学ぶ事は、沢山あります。次は人としての修行です!

 

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