包丁が切れない、、、
メガネかけたI江さん。
大介!包丁ば研いでこい、目がいたか!
ネギを大量に切る私に、そう注意して下さってのは、真面目で几帳面なI江さん。
口癖は、
チェックばせろ!
お陰で、うちのスタッフも、料理を運んでいく時には、しっかりチェックできております。
すみません、厨房の片隅で包丁を研ぎ、もどります。
そして、しばらくすると、
包丁かして!
はい、
あー、研ぎ方の問題さー、
大介の研いだとは、こげんなっととっとさ!
こいば、こげん研がんば!
図説で説明するI江さん。長崎弁も強烈です。
わかりました。
本当はよくわかってません。し、時間がないので、とにかく切ります。
で、めちゃ怒られます。
そんなある日、父に聞いてみました。
包丁が上手くとげないとけど、、、
父は、
今包丁あるか?
うん。持ってきた。
見せてみろ。
老眼の父が、メガネを外し、包丁を持つ方から、なめるように見て、
あー、これじゃあな、、、
ちょっと店行くか!
うん。
たまたま休みだった実家の厨房に行くと、
砥石を出して、父が研いで見せてくれます。
シャー、シャー、シャー、、、、
5円玉を挟むくらいの意識で、研ぎはじめたら角度がぶれないように、、、
そしてまた、シャー、シャー、シャー、、、
やってみなさい。
うん。
シャー、シャー、シャー、、、
そうそう、
しばらくして、父がまた、チェックします。
よし、そろそろ仕上げるぞ。
いいかー、包丁は、刃を出す、整える、保護する。この三段階で仕上げていくとぞ。
うん。
、、、、ピッカピカの、触るとスッとキレそうで、ゾクっとしました。
ありがと〜、これで、ネギきっても怒られんやろー、
と言うと、
あとは切り方の問題もわすれるなよ。
うん。
翌日、仕事に行き、必要もないのに、ネギをI江さんの前で切ります。
サッサッ、、サッサッ、、、
音がちがうやん!!心の中でガッツポーズしながら、
サッサッサッ、、、サッサッサッ、、、
チラッとI江さんが、こちらを見た!
スッ!
何も言いません、、、
休憩の時、I江さんの隣に座って、何もいわないので、
I江さん!!ネギしみましたか?
あ〜、やけん、こっち見やったとや?
あ、、、はい!
いや、しみらんかったよ、研いだ?
はい!しっかり、ばっちり!
ま、当たり前のことやけんな!
はい!
お前、あのネギ、何に使うと!?
週末の宴会用です!!
今日、何曜日や?
水曜日です!
今日切るバカがおるや?!仕込み表書いて、チェックばせろって言うたやろーが!
はい、すみません。
結果、怒られましたが、
帰り際に、厨房を去って行くI江さんから、
大介!!Nの包丁研いでおいてやって!あした、Nに、包丁きれないと、食材傷みますから研ぎました。って言うてやれ!
あっ、はい!
包丁が切れないと、食材が傷む。
見習い1年生の私には、とても、わかりやすく、印象に残るように、教えていただきました。
ヘトヘトに疲れた時、ミスタードーナツを奢ってくれたのも、I江さん、そのあと、酒が飲みたいと言って、ふざけんなといいながら、飲みに連れてってくれたのもI江さん、全ての運転手がNさん。
感謝しております。